三澤ブログ(リアル)

世の中で起きている出来事をつまみながら、未来の在り方を模索します。

虚無

世の中は『無』によって支配されていると感じる事が最近よくある。

漫画も小説も電子書籍で済ませたり、自宅にはパソコンかスマホ、必要最低限の衣類や寝具しか置かないミニマリストなど、人々のあいだに反唯物主義的な空気が漂い始めている。

もっと大きいテーマでいえば『お金』がそうで、あれは現金があれば健康になれる、快楽を満たせる、家族が救われる……というメリットを人質として我々に奪い合いを強いる紙切れでしかない。我々は紙切れを崇拝しているのではなく、あくまでメリットの部分を渇望しているのだが、順序が逆になっている。

 

また、コピーライティングにも「Not Read, Not Believe, Not Act」という原則があるが、つまり「お前がどんな文章を書こうと誰も読まないし、誰もお前を信用しないし、誰もお前に感化されて行動するような事はない」という絶望から何かを書き始めろ、と。

そのように、ほとんどの読み手、情報を受け取る側の人は、進んで自ら何かを変えようとはしない『無』であるという問題もある。(だから物書きは日々勉強なわけだが。)

 

今回取り上げるTEDでは「空虚なモノに人は躍らされる」というメッセージを訴えているが、逆説的に「世の中は空虚なモノで構成されてるんだからあんましマジになるなよ」とも解釈できる。

 

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般若心経の有名なフレーズ「空不異色」「色不異空」「空即是色」「色即是空」も、「モノや物事に実体などない」という主張を字面を変えて繰り返し叫んでいるだけである。

だから「別に本気出さなくても死ぬ時はみんな同じ」と考えるか、それを罠だと感じ「無から有を生み出そう」と少しでも何かを変えていくか、そういう人々の移ろいを「お天道様が見ている」のだと思う。

この世に完璧な神がいるとは思わないが、無知でエゴイストな人間をおもちゃにして遊ぶ造物主は明らかに存在する。何も無いように見えるだけで、完璧な『無』など無いのである。