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三澤ブログ(リアル)

世の中で起きている出来事をつまみながら、未来の在り方を模索します。

クロコダイルの脳

大人の学習 ビジネス 人間
社会人生活は営業の連続である。
 
地図を片手に住宅街やオフィス街を歩き回る飛び込みセールス。
アポ取り電話だけでなく、電話越しに怒り狂う相手をどうにかなだめるクレーム処理。
 
バリバリの営業職でなくとも、「この企画を通すために関係者の前でどのようにプレゼンしよう?」という場面や「こういうアイデアを思いついたのだが、あの頭の固い上司に何と説明しよう?」という説得を迫られる場面も立派な営業である。
 
「もっとお小遣い上げてよぅ……」と妻に縋り付くのも同じか。これは少し違うか。
 
 
こういった“営業”の成功度を上げるためのテクニックは状況に応じて無数にあるが、営業をされた側も過去に何度もセールスマンのナンパを受けているので、
昔ならではの営業テクニックだけに頼っていると「あー。こういう売り込みをしてくるってことは、次はこういう展開が来るんだろうな…」と相手に見透かされてしまう。
 
その時点で営業をする側の立場はきわめて弱くなる。契約が取れないので上司に怒られる。ストレスで頭が働かない。もうどうすればいいのかわからない。
 
……そうやって、メンタルクリニックに長蛇の列が出来上がる。
 
 
そういった背景もあり、社会人が“営業”の苦しみを少しでも和らげ、胃や精神を傷める生活からおさらばするためには、どうやらテクニックよりも「人間の脳」について知っておくほうが効率的だな……と、この5年で学んだ。
 
どこかで使えるヒントを散りばめているので、気になったらこのまま読み進めていただきたい。
 
 
 
現代人の脳は『脳幹』を起源としている。
その後、大脳辺縁系や大脳新皮質が完成し、何百万年もかけて人間の脳はアップグレードを重ねていった。
 
これ以上学術的な知識が欲しければ各自ググってもらうとして、要点だけを抜き出せば『脳幹』というのは「相手は敵か否か」を即時に判断する部位である。
 
この脳幹を“クロコダイルの脳”という。
もう少しフランクに“クロク・ブレイン”と呼ばれることもある。
エスカレーターの溝に巻き込まれる事故で話題になった、あのサンダルの語源を想像してほしい。
 
 
脳幹こと“クロコダイルの脳”は、「生存に関わる闘争反応」「生死に関わる逃走判断」、
つまり「ここは戦うべきか、それともひとまず逃げるべきか」を判断する機能を司る。
 
また「感情を優先する部位なので、論理的思考を組む土台にはならない」という特徴もある。意外と重要なポイントだ。
 
これらを踏まえたうえで、営業やセールスの話に照らし合わせる。
 
 
 
ある日突然、見ず知らずのセールスマンがあなたの家にやって来た。
 
外出する予定の無い日だったので、あなたは服装も化粧もまったく整っていない。完全に油断していた。
 
そんな事情もお構いなしに、セールスマンはカバンからおもむろに資料を取り出し始め、どこか違和感のある笑顔で商品説明を始めようとしている。
あなたはまずどう感じるだろうか。
 
 
「わぁ……久々のイケメン……!!」
 
「うおっふ!やっぱり若い女の子はスーツが一番ですなぁぁぁ!!」
 
 
……こういうケースもあるだろう。
 
しかし、大抵の場合こう感じるのではないか。
 
 

「コイツ胡散くせえな……」と。

 
 
もうおわかりだろうが、この「いきなり営業に来た相手=胡散臭い」という判断を瞬時に下す脳の部位が『脳幹』なのである。
 
いきなり自宅へ営業にやって来たセールスマンを「危険な外敵」と見なし、何とかしてその場をやり過ごせと全身に伝えるのが“クロコダイルの脳”の役目なのである。
 
そのため、「いいからとにかく汗水垂らして一日100件営業しろ」といった射幸性に頼るセールス方法は、初めから営業先の人々に敵対されることを前提に設定されている。
「次は当たる!次こそ当たる!」で偶然取れる契約もあるだろうが、トータルで見れば穴だらけである。
 
 
かつて敵の艦隊に散っていった特攻隊と同じく、ひとりの命が玉砕して生まれた利益は、戦場の外にいた人間がそのすべてを得る。
 
だからタチの悪いブラック企業は、人員の補填として求人にジャブジャブお金を使う。
31℃を超える真夏日に、塩飴よりも先に用意してあげるものが他にあるんじゃないだろうか。
 
 
 
“クロコダイルの脳”だが、実際、ワニというのは見た目の割に非常に臆病な生き物である。
 
「ワニなんて余裕っスよ。アイツらにアゴ使わせなきゃ良いんスよ(笑)」とは、とある動物園にいた飼育員さんによるコメントである。
(猛獣の檻の外にいるとはとはいえ、彼が太いモップを一瞬たりとも手放そうとしなかったのが印象的だった。)
 
 
また、ワニだけでなく、爬虫類・魚類・両生類の生命活動は、脳幹を主体に行われているそうだ。
 
動物園や水族館で「中にいる生き物が怖がるのでガラス窓を叩かないでね」という注意書きを見たことはないだろうか。
「敵が攻めてきた!」とトカゲや魚がストレスを抱えてしまうからである。
 
よって“クロコダイルの脳”というネーミングは、単にカッコ良さ・語呂の良さのようなものから名付けられたのかもしれない。
 
 
 
 
 
……しかし、引っ掛かることはまだまだ沢山ある。
 
 
●ワニをはじめ、数々の爬虫類は脳幹が発達している。
 
●人間の脳は脳幹が起源であった。
 
古代エジプトの創造神『セベク』は、ワニの頭をした人間として描かれる。
 
イラク(古代シュメール)のウバイド遺跡から、まるで蛇やトカゲのような頭を持った謎の石像が発掘された。
 
●エジプトとイラクは、1000km(東京〜北海道間)も離れていない。
 
イラクを戦場と化したアメリカ軍は何かを隠蔽しようとしていたのか、イラク博物館に保管されていた歴史的資料を略奪し、古代の様子が記された粘土板を破壊して回っていた。
 
●漫画『ドロヘドロ』の主人公はイグアナ人間。『HUNTER×HUNTER』のメルエムは人間を食料とし、蟻とは言いがたい長い尻尾を持った人間の姿をしている。全身も爬虫類のような緑色である。
 
●長崎のハウステンボスにある『変なホテル』では、肉食恐竜のロボットが受付を任されている。
 
●人間はなぜか爬虫類を異常なまでに恐れる。犬や猫なら大丈夫なのに、爬虫類に触れるのを極端に嫌がり、蛇やイグアナを見るだけでも鳥肌が立ってしまう。
 
●人間はみな猿から進化したはずなのに、他人を見て「あのイケメンは爬虫類顔だ」「アイツは蛇のように狡猾な男だ」と感じてしまう場面がある。
 
●東洋・西洋問わず、神に近い存在として龍や蛇が全世界で崇められている。
 
 
つまり、個人的には脳科学よりも、人類の起源について掘り下げるほうが何かと手っ取り早いような気がしているのである。
 
 
 
現代人は新しいものが好きだ。
開始5秒もあればオチのわかる話など誰も求めてはいない。
 
無難な知識だけでなく、誰かに伝えれば変人扱いされるようなネタも頭の中に仕込んでおけば、いつかどこかで話のタネになるかもしれない。
 
今回はあえて、あなたの持つ“クロコダイルの脳”に挑戦した。
人間関係は営業の連続である。