岡村靖幸『幸福』
岡村靖幸のニューアルバム『幸福』をずっと聴いている。
ジャケットになった娘と風呂に入っている父親の絵は会田誠によるものだが、これは「普通の人からしたらこういう親子の光景は幸せの象徴そのもの。でも、幸せに見えるだけで本当はそうじゃないのかもしれない」という、男ならではの矛盾をほのめかしている……と岡村さんは久保ミツロウとの食事で語っていた。
残念ながら、人それぞれ運命は決まっていると思う。
未来がどのように分岐しようと、どの未来でも同じような結末が待っているのだと思う。
しかし、その中で足掻き続ければ、ひょっとすると予想外の道が開けるかもしれない。
不幸な未来があるのなら、そうでない未来も同時に存在する。
すべての未練にケリをつけてから死ねるのは「幸福」だ。
数値化不能の問題を理解できないのは誰しも同じだから、自分の内面で何かと戦う人が他人に理解されることはない。
一方、見えない何かと戦う人には敵の姿がはっきり見えている。
…
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そんな感覚に頭を悩ませたことはないだろうか。
その得体の知れない感覚を、このアルバムはさらに掘り進めていく。